派遣社員は健康保険に加入できる?条件やそのほかの社会保険について解説
派遣労働者は条件を満たすことで、健康保険に加入できます。会社が保険料を半額負担してくれるため、「どうしたら加入できるの?」「いつから加入できる?」と気になっている方が多いでしょう。
そこで、本記事では派遣社員が健康保険に加入する条件やタイミングについて解説します。健康保険以外の社会保険の加入条件についても紹介しているため、派遣労働者として働く予定のある方はぜひ参考にしてください。派遣社員の受け入れを検討している企業も、知っておいて損はありません。
目次
- 厚生年金
- 雇用保険
- 介護保険
- 労災保険
- 派遣社員の健康保険の加入手続きは誰がおこなう?
- 派遣社員は健康保険にいつから加入できる?
- 派遣社員の健康保険料の支払いはいつから?
- 派遣社員は健康保険の加入でいくら引かれる?
- 健康保険に加入しない方法はある?
そもそも健康保険とは
健康保険とは、業務外の病気や怪我、出産、死亡などに備えるために加入する公的な医療保険制度です。個人で加入するものではなく、勤務先の会社を介して加入するものであり、派遣社員の場合は派遣元の企業を介して加入します。
派遣社員が健康保険に加入するメリットは、保険料の半分を派遣元の企業が負担してくれる点です。健康保険に加入しない場合は国民健康保険に加入することとなり、派遣社員は保険料の全額を自分で負担しなければなりません。
派遣社員が健康保険に加入する条件
派遣社員が健康保険に加入できる条件は、以下の通りです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である
- 1ヶ月の賃金が88,000円以上である
- 2ヶ月を超える雇用見込みがある
1週間の労働時間や1ヶ月の労働日数が一般の社員の3/4未満であっても、以下の条件を満たせば加入資格が得られます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である
- 1ヶ月の賃金が88,000円以上である
- 常時101人以上の健康保険の被保険者を使用している派遣会社、もしくは100人以下で健康保険への加入について、労使合意した派遣会社に勤めている
- 学生ではないこと
加入条件の所定労働時間とは、契約上の所定労働時間であり、臨時に発生した残業時間は含みません。ただし、雇用契約では20時間未満となっていても、実際の労働時間が2ヶ月を超えて20時間以上となり、同じ状態が続くことが見込まれる場合は、3ヶ月目から社会保険加入となります。また、加入条件の1ヶ月の賃金には残業代や賞与は含まれず、基本給と諸手当を合算した金額です。
なお、健康保険の加入条件は2024年10月から改正されます。現行では従業員数が101人以上の企業で働く人を対象としていますが、2024年10月の改正では従業員が51人以上の企業も対象となるように適用範囲が拡大されます。
派遣社員が健康保険に加入できるタイミング
派遣社員の契約期間が2ヶ月を超える場合は、雇用契約を締結した初日が健康保険の加入日です。また、契約期間が2ヶ月以内という契約を結んでいても、契約更新によって契約期間が2ヶ月を超える場合には、更新日から健康保険に加入できます。また「更新無」の契約であったとしても、2ヶ月を超えるような雇用が見込まれたら、その時点から加入する必要があります。
派遣社員が社会保険に加入する条件
健康保険とは社会保険の種類であり、社会保険には健康保険以外にも以下のような種類があります。健康保険の加入条件と併せて確認しておきましょう。
- 厚生年金
- 雇用保険
- 介護保険
- 労災保険
厚生年金
厚生年金とは、会社で働く人が加入する公的年金です。会社を通して加入するものであり、保険料の半額は会社が負担します。保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて算出されるものであり、保険料率は固定で18.3%です。
【厚生年金の加入条件】
- 契約で決められた1週間の労働時間が、一般の社員の3/4以上である
- 契約で決められた1ヶ月の労働日数が、一般の社員の3/4以上である
- 2ヶ月を超えて雇用される見込みがある
1週間の労働時間や1ヶ月の労働日数が一般の社員の3/4未満であっても、以下の条件を満たせば加入資格が得られます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である
- 1ヶ月の賃金が88,000円以上である
- 常時101人以上の健康保険の被保険者を使用している派遣会社、もしくは100人以下で健康保険への加入について、労使合意した派遣会社に勤めている
- 学生ではないこと
雇用保険
雇用保険とは、失業した人や教育訓練を受ける人などを支援するために、失業手当や育児休業給付金などを支給する制度です。保険料は会社と労働者の両方で負担するものであり、会社の方が労働者よりも高い割合で負担します。
【雇用保険の加入条件】
- 31日以上雇用される見込みがある
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
昼間学生は対象外です。
介護保険
介護保険とは、介護を必要としている人が少ない負担で介護サービスを受けるための保険です。会社を通して加入するものであり、保険料の半額は会社が負担します。
【介護保険の加入条件】
- 40歳以上65歳未満の健保組合、全国健康保険協会、市町村国保などに加入している
- 特定疾病によって要介護(要支援)状態となっている
特定疾病とは、癌や関節リウマチを始めとする16種類の病気です。上記の加入条件は第2号被保険者を対象としているものであり、65歳以上で第1号違保険者に該当する場合の受給条件は、要介護状態や要支援状態であることです。
労災保険
労災保険 とは、勤務中や通勤中に発生した病気や怪我などに備えるために加入する制度です。保険料は会社が全額負担となります。
【労災保険の加入条件】
雇用形態に関わらず、賃金を受け取る労働者であれば加入条件を満たします
派遣社員の健康保険加入に関するよくある質問
派遣社員の健康保険の加入手続きは誰がおこなう?
派遣社員の健康保険への加入手続きは、派遣元の企業がおこなうものであり、派遣先の企業で手続きをおこなう必要はありません。
派遣社員は健康保険にいつから加入できる?
健康保険は、前述の条件を満たしていれば、派遣社員が派遣元の企業と雇用契約を結んだ日から加入できます。
派遣社員の健康保険料の支払いはいつから?
給与から健康保険料を天引きするタイミングは、給与が発生する月を健康保険料と連動させる場合と、給与の支払い日を健康料納付日に連動させる場合の2パターンがあるので、派遣元企業に確認をしましょう。
派遣社員は健康保険の加入でいくら引かれる?
健康保険料は、標準報酬月額に健康保険料率掛けて算出します。健康保険料の半分は派遣元の企業が負担するため、給料から差し引かれる金額は算出した健康保険料の半分です。保険料率は健康保険組合ごとに異なります。
健康保険に加入しない方法はある?
健康保険の適用条件を満たす場合は、法律で加入を義務付けられています。
まとめ
健康保険は雇用形態にかかわらず、条件を満たしたら加入義務があります。派遣社員が健康保険に加入した場合、保険料は派遣社員と派遣元の企業で折半します。
健康保険の加入手続きは派遣元の企業でおこなうため、派遣社員や派遣先の企業が手続きをおこなう必要はありません。派遣先の企業は派遣社員と雇用関係にないため、派遣社員の健康保険の手続きについては関与が不要なのです。しかし、派遣会社から質問を受ける可能性もあるため、加入条件やタイミングなどについて理解しておくとよいでしょう。
人材をお探しの企業様はこちら
1990年の設立以来、
業界をリードする実力をぜひご活用ください。
企業のご担当者専用ダイヤル